279人が本棚に入れています
本棚に追加
/177ページ
「はい。リーアンちゃんも魔力の伸びと安定もよくなってきてますね。」
水晶に、魔力を込めていく生徒達を、ソリアルさんは誇らしげに誉めているのがなんだか羨ましく思えていた。
「じゃ最後はティオさんの番ですね。」
ティオが私に手を振っている。
私もモカと一緒にティオに手を振った。
「モカ。ティオはどんな光を出すんだろうね。」
「です~。」
ティオのかざした水晶が輝きだした。
「なお。気をつけて見てね。」
言った瞬間、水晶もティオも姿が消し飛んでしまっていた。あまりの光の量で私は目を背けた。
「なおさん。もう大丈夫ですよ。」
ソリアルさんの言葉で私は背けた視線をティオに向けた。
水晶の中に白い太陽があるみたいだった。
ソリアルさんに呼ばれたティオが私達のところに歩いていきた。
「ティオってすごいのね。びっくりしちゃった。」
ティオが誇らしげに笑っている。
「まあね。ちょっと本気だしちゃった。」
横にいるソリアルさんが半歩前に出てティオと私の間に入る形になった。
「いつもそれくらい頑張ってくれると私は嬉しいんですけどね。」
ティオの笑顔が照れ笑いに変わっていった。
ティオの腰の辺りにライカちゃんと呼ばれていた少女が寄ってきていた。
ティオを壁にしてモカを見ているようだった。
くりっとした目と可愛いい髪飾り。きれいな銀髪は短く整えられている。
「この子はライカちゃん。」
ティオから上級生が下級生の面倒みるのが慣わしだと教えてくれた。
私はライカちゃんにモカに興味があるのか聞くと、小さな声で「うん。」
「モカ。ご指名よ。」
私は、腕の中でくつろいでるモカをライカちゃんの目の前に差し出した。
「触ってみて、ふわふわしてて気持ちいいよ。」
「なお~。ぼくって…」
モカが何か言いたいみたいだけど、撫でて誤魔化した。
ティオとソリアルさんも私も微笑している。
ライカちゃんがゆっくりとモカの背中を撫でて、すっと手を戻した。とても嬉しそうな顔になっているのが見えた。
「ね。モカは私の大切な友達なんだ。怖くないでしょ。」
今度ははっきりと聞き取れる声で「うん。」っと返事が返ってきた。
いつの間にか生徒達が私とティオを囲んでいた。
「モカ。大人気ね。」
モカもちょっと嬉しくなったみたいで、ぴょんっと手から飛び上がって頭に戻った。
「はい。みなさん、モカ様が困惑していますので、戻ってください。」
ライカちゃんたちが広場の方に戻っていく。
「なお~。ぼくちょっとびっくりだったです。」
最初のコメントを投稿しよう!