銀竜 ナセラ

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 頭の上でモソモソしているモカに私は「ごめんね。」と謝った。 「だって、モカが怖がられるのって嫌なの。」  モカは何も言わずに頭の上で寛いでいる。  まだ私の隣にいるティオがソリアルさんに話かけている。  「なおが知りたい事を教えて差し上げえてみてはどうですか?」 「そうね。次は魔力での物質操作を見てもらおうと思ったのですが、」  ソリアルさんが私に意見を求めてきたので、私はすこし考えた。 「そうですね。それも見て見たいです。まったく魔法ってものが判らないので何でも興味あります。」  私はおじさんやミリアさんが使っていた戦闘用の魔法を本当は見てみたかったけど、ここでは禁句のような感じがした。 「はい。それでは次は操作の基本をやってもらいますね。」  ソリアルさんは広場に向かって手をかざしている。  いつの間にか消えていた水晶の場所に今度はソフトボールほどの水晶が1・2・3・・・全部で8個、宙に円を描くような位置にそれぞれ浮かんでいた。 「では、いきますよ。」  ソリアルさんの合図ともに水晶は力尽きたように床の上に落ちた。  ライカちゃんが前に出て手を出して念じている。  ゆっくりと8個の水晶が元に位置に戻っていった。 「じゃあ、回転してみましょうか。」  回りだした8個の水晶は速度を上げていく。ひとつの円を描くように移動する水晶は速度を落として最初の位置に止まった。 「はい。よろしいですよ。」  生徒達が次々と交代していく。大きい子になるほど速度が速く、円を描く軌道もより複雑に組み合わさって、とてもきれいだった。 (わたしにも出来たらいいのにな~できないんだよね…)  ティオの番になっていた。  ティオの操作している水晶はさらに早く、水晶の軌跡でひとつの大きな球体に見える。 「はい。みなさん、終わりましたね。授業の時間もなくなってきましたので、今日はこれで終わりにしましょう。」  生徒達はソリアルさんに挨拶をしてそれぞれ雑談を始める。 「ティオさん、ナリアさん、マールさんは月礼の間へ。」  呼ばれたティオ達が私の隣にいるソリアルさんの所にきた。  ティオの視線が私に移った。 「なお、もう少し待っててね。」 「ここで待ってればいいの?」  私の質問に答えてくれたのはソリアルさんだった。 「なおさんは私とナムル様のところにいきましょうね。ナムル様が待っていますので。」 (そっか、最初そんなこと言ってたよね。)  私はティオに手を振ってソリアルさんの背中を追った。
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