銀竜 ナセラ

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「自分の力じゃない物で得た事は自慢にも誇りにもならないの! 力がないから誰かを頼るの。誰かに頼られる私に成りたいから自分で頑張るの! いいでしょ!。」  勢いに乗った言動が場違いであるのに気付いて、私は少し後ずさりしていた。 (やば…)  無音になった洞窟で私はゆっくりと銀竜ナセラとルミナさんに顔を合わす。 《フォ! フッ! ファッ、ファッ、フォァ!》    渋い声だけど愉快な笑い声が頭に届いてきた。  ナセラとルミナさんが楽しそうに笑っているのが見えた。  私はモカに視線を移してきょとんとしているモカを持ち上げた。 「ねぇ…なんで笑うの?」  モカも困っている。  ナセラの笑い声が消えそして言葉が伝わってきた。 《少女よ。とても素晴らしい返事が聞けて嬉しかったよ。さすがはシェラの孫だ。強い心に育っていて嬉しいよ。なお、その心をいつまでも忘れないようにな。》   「…え?」  さっきの言葉使いが抜け切らないまま私はナセラの言葉に反応した。 「おばあちゃんの事知ってるの? あっ、そうよね。おばあちゃんはここで育ったんだし、知っててもいいのか。魔法使いだし…ここの学校出てるのよね…」 (お祖母ちゃんってどんな子供だったんだろう…) 「そうだ。ルミナさんも私のお祖母ちゃんの事、知っているのですか?」  銀竜ナセラの隣で、私を見詰めているこの国の王妃。月の巫女ルミナ様。 (知ってても、おかしくないのよね。なんで気付かなかったんだろう…)  青白く輝く竜の反射光のせいなのか、ルミナさんの顔がすこし淋しそうに見えた。 「はい。知ってますよ。でも、お祖母様のお話はお迎えにいらした時にゆっくりとお話しましょうね。」  気のせいだったのか、ルミナさんは優しい笑顔で私の隣に降りてきた。 「ん~…ナセラさん。…さま。」  呼び方がいまいち判らないので戸惑った。  銀竜ナセラの渋い声がすこし変わって親しみのあるお爺ちゃんのような感じで答えくれた。 《この世界の人間は私のことをナセラ様と呼ぶがの、まあ、好きに呼んでもいいぞ。特別にの。》  私はすこし考えてナセラをじっと見つめ、ルミナさんをチラっと見て、腕の中にいるモカに小さな声で聞いてみた。 {…ってどうかな?」  モカが困惑しているのが面白かった。  隣にいるルミナさんに同じことを言ってみたら、すこし笑ってくれた。 (良いってことだよね?)  見上げた私の目に飛び込んできた銀竜ナセラの顔が笑っているのが見えた。 「あ! 聞こえてたの?! そっか、小声って意味がなかったのね。」
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