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(こういうときは…椅子に座ってるべきなのだろうか?)
慣れない緊張が私の体を少し堅くしている。
程なくテーブルにお茶とクッキーが置かれ、入り口近くに移動型のクローゼットが設置される。
「なお様。温かいお茶を入れましたのでどうぞ。」
そう言って、二人のメイドさんはクローゼットの横で待機状態になった。
私は軽く会釈してソファに腰掛け、お茶とクッキーを頂いた。もちろんモカもベットから飛んできて私の膝の上に座って私からのクッキーを頬張っている。
「ありがとう。美味しかったです。」
私が、待機しているメイドさん達に声をかけると合図したかのようにクローゼットの扉を開ける。
「着替えの衣装です。ごゆるりとお選びください」
10着くらいあるドレスが目に入ってくる。
(これまた…凄いドレスがありそうね…)
モカにクッキーを渡しながらソファから覗いてみた。
それからモカを膝から下ろして、私はクローゼットに移動した。
「この着替えは食事用なのですか?」
メイドさんにドレスを選びながら私は聞いてみた。
「いえ。そういうわけではないです。お城内の部屋着としてお使い下さい。」
そう言われてドレスをよく見ると、薄いシンプルなドレスとセットになっている刺繍が施された厚めの上着。それにフリルや宝飾が付いている腰から下に付ける重ね着のようなスカートの3点セットな服が並んでいた。
薄い黄色がベースになっているドレス。濃いオレンジの刺繍と、花を模ったアクセントの付いた白い上着に、ドレスと同じ色でオレンジの宝石が銀細工と一緒に飾られているスカートのセットを選んで、メイドさんに渡した。
「これを、お願いします。」
メイドさんがドレスを広げて着替えの仕度を始めたので、私はポケットにある宝印石をテーブルでまだクッキーを食べていたモカに渡す事にした。
「モカ。これちょっと持っててね。」
モカはクッキーを食べるのをやめてソファに座り、私はそのモカとソファの間に隠す用に石を入れた。
カードが入っている腰ベルトもソファの上に置く。
待っているメイドさんの所にもどって私は着替えを済ませた。
「モカ。お待たせ。」 私はソファに戻ってモカを膝の上に乗せ、宝印石を手に取った。
着替えた服にはポケットらしい物が無かったので、私は胸の下着の中にとりあえず押し込んでみる。
(ちょっと痛いけどまあ…いっか)
クローゼットを片付け始めたメイドさんの一人がテーブルの横のワゴンのところに来る。
「のちほど、姫様がお迎えに来られますのでしばらくお待ち下さい。」
「こちら、お下げしますか?」
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