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私はふと、私の世界で広まっていたカードゲームの世界観が浮かんできた。
よくある世界観だからカードゲームを思い出さなくてもいいのに、私はお祖母ちゃんから貰ったカードの絵柄を思い出していた。
(そうだ。カードをおじさんに見せてみよう。)
湯船から起き上がった私はおばさんが用意してくれた柔らかいタオルで体を拭いて、新しい服に着替えて、おじさんたちがいる部屋へと向かった。
私が部屋に入ると、楽しそうに話しているおじさんたちがいた。
おばさんが私に気付いて席を立つ。
「さあ、お腹空いたでしょ。お昼ごはんできてるからみんなで食べましょう。」
台所から出来上がった食事を運び始めたのを見て、私はテーブルに着いて気になった事を聞いた。
「クッキー食べたいです…」
私はまたみんなに笑われるのが判っていたけど、それ以上に今食べたいって気持ちが抑えられなかった。
「はい。ご飯前だけど、特別ね」
おばさんが食事を配り終えて、最後に私のところにクッキーを持ってきてくれた。
「おいしい~」
香ばしく、サクサクとしてまだ暖かいクッキーを私はあっという間に食べてしまった。
(あっ、さきに食べちゃった…)
「ちょっと待っててください。」
空になった小皿を私は台所にすばやく片付けてテーブルに戻ってきて何事もなかったように席についた。
「お待たせしました。」
私はそういって3人の顔をみた。やっぱり笑っていた。
おじさんが食事前のお祈りを始めたので私も見よう見まねで合わしてみた。
「それではいただきましょう」
おじさんの言葉でわたしは顔を上げて目の前にある料理を食べ始める。
おばさんの料理はどれも美味しくて、どこかお祖母ちゃんの料理にも似てて…
(あっ…モカ!)
忘れてた訳ではないけど、忘れてました…空腹に負けました…
私は食事を止めて、おじさんに尋ねた。
「モカは?」
ここに居なかったからまだ寝てると思うけど、おじさんが糸を取ってくれたとおもうけど、やっぱり心配になった。
手を止めたおじさんは優しい笑顔で、
「大丈夫、糸もきれいに取れたよ。今はまだ寝てるけど傷もなかったし、心配ないからね。」
「そっか、よかった。」
早くモカに会いたくて、私は料理を慌ただしく食べた。
「ごちそうさま! モカを見てきます。」
おじさんたちに声をかけて私は食器を台所にささっと片付けてモカを見にいった。
小さな木のバケットに毛布に包まれたモカが寝息をたてながら寝ていた。
(よかった。元気そうで。)
私はさっきの声を思い出した。
(災いを持つものって…)
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