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私がモカを見つめていると、ミリアちゃんと呼ばれていた女性が部屋に入ってきた。
「さっきはほんとにありがとう。 私は何も出来なくて、おじさんも、モカも助けられなくて…」
伝えてたい事がまとまらず、私は戸惑っていた。
「あなたの声が聞こえたから私は間に合ったのよ。だからちゃんと出来てたよ。」
私は、ちょっと熱くなった胸を押さえながら彼女の目を見つめていた。
彼女はモカを見ながら、
「ねぇ、あなたって別の世界から来たの? おじ様がそう言っていたから。」
「はい、そうです。自分でも信じられないけど…」
モカの柔らかい毛をなでながら私はそう答えた。
(あっ! 動いた。)
モカが少し動いたと思ったら、目をパチっと開けて私を見た。
「なお~大丈夫?・・・僕たち助かったの?」
隣にいるミリアさんを見つけてモカは起き上がった。
モカを抱き上げて
「うん、彼女が助けてくれたの。」
すこし寄りかかるような感じでモカは私の腕の中にいた。
「なお~、お腹すいたよ~」
モカの甘えるような言葉を聞いて、私達は顔を見合ったまま笑っていた。
モカが彼女にお礼を言ったのを聞いてから、私はモカを部屋から連れ出した。ミリアさんも一緒に。
「おばさん~クッキーまだありますか?」
私は台所で食事の片付けをしているおばさんに声をかけた。
「あらっ、まだ食べたいの? 今持ってくから待っててね。」
まだ私が食べるのかと勘違いしているおばさんが台所からクッキーとお茶をもってきて、私の膝の上に座っているモカを見つけておばさんは、なぁんだって顔をしてモカに話しかけてた。
「お茶、熱いけど飲める?」
モカはおばさんに軽く挨拶して
「はい、大丈夫だとおもいます。」
クッキーをさっそくクチバシではさんで上手に食べていた。
「なお、これ、おいしいよ~」
嬉しそうに食べているモカを見ながら私はおじさんとおばさん、ミリアさんに思っていることを話始める。
「おじさんとおばさんは私のお祖母ちゃんを知ってるんだよね? お祖母ちゃんってこっちの世界の人なの?」
二人は「そうだよ。」って、言って頷いていた。
「じゃあ…お祖母ちゃんはどうして私一人だけこっちに送ったんだろ? なにか聞いてる?」
(朝は訳が判らないまま食事して、言われるままに散歩してたんだよね…)
「あぁ…」 おじさんが私を見つめながら会話を続けた。
「私達に、ちょっと孫が悩んでるから気分転換に旅行させるのでそっちで面倒みてくれって頼まれただけだよ。10日くらいしたら迎えに来るからって。」
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