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ミッション
逸る気持ちを抑えながら、現場に向かう。
今日は俺一人。
奴等は無数。
やるしかない。
俺ならできる。
現場に着いた。
組織からの情報は正確だ。
奴等の進行は始まったばかりだ。
奴等は天からその神秘的な美しさを存分見せつけながら舞い降りてくる。
白銀の煌めきと神々しさの裏側に秘められた恐ろしい攻撃。
美しさに魅入られた者をその場から動けなくする非情で血も涙もない冷酷な必殺技。
「白い魔物」と称されるに相応しい残虐さだ。
だけど俺達は知っている。
白いのは残念ながら前座に過ぎない事。
ラスボスは白いのが大地に敷き詰められた後に姿を現す。
禍々しいまでの黒い姿で、俺達の母なる大地を蹂躙する。
四つの足で大地を舐めるように這いずり回り、まるで鏡かと見間違えるかのように磨いていく。
奴等が我が物顔で走破し、鏡面と化した大地では人は歩くことさえ許されない。
足は竦み動かなくなり人は大地に跪く。
まるで奴等に許しを請うかのように。
奴等を俺達はこう呼ぶ「黒い邪神」
俺達の真のターゲットだ。
しかし俺達の組織は白いのにも、黒いのにもその弱点を解明し必殺武器を支給している。
白いのが地上に降りるや否や吹き飛ばし一ヶ所に集めて封印する聖なる剣を。
その柄(グリップ)は最新のカーボン、まるで羽のように軽く重さを感じない。
その刃(ブレード)はダイヤモンドコーティングされ耐久性に優れ、どんなものでも切り刻む。
黒いのには一度敵捕まるとその封印を解くのは難しく、避けても逃げても追いかけて必ず捕獲するにまさに呪いの鎧を。
数も重さも材質も豊富で奴等の大きさ、状態に合わせて変化する味方ながら恐ろしいものだ。
今も多くの研究者が絶えず奴等の形状に合わせた新しい鎧を次々と作製し現場に供給しついる。使うこちらも驚く程に。
剣だの鎧だの前時代的表現だが、いずれも最新科学の叡智の結晶だ。
ここでは俺のターン。
残念だが白いのにも黒いのにも出番はない。
遠慮なく駆逐させてもらう。
長丁場になりそうだ。
終わるのは奴等が進行を諦めるか、俺達の組織から撤退命令が届くかの二つに一つ。
俺が負けることは許されない。
考えたこともない。
人々か俺達の事をこう讃えているのを知っている。
コードネーム「CC 」と。
さあミッション開始だ。
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