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「ねえ先生、マジコリサマって信じる?」
「ああ、信じるよ」
それから、金澤はマジコリサマをしている子供たちを見かけても、止めることはなくなった。
衛藤は、退職した。体を壊して、これ以上教鞭を振るうのは無理だという話であった。
目の前を走り抜けた黄色い帽子の生徒たちが、楽しそうにはしゃいでいる。
「マジコリサマ、マジコリサマ」
幼い子たちは無邪気に笑う。その言葉がどんな意味を持つのかも、分からないのだろう。
金澤は、耳を塞いだ。
この学校は、あと五、六年で廃校になる。
だからきっと、この「あそび」も。そう、マジコリサマも、この幼い子供たちの卒業とともに、いなくなるはずなのだ。
いなくなる、はずなのだと、
そう、信じている。
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