夜7時、窓の景色

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アメリカンコーヒーを啜っていると、ふと気になる人がまた噴水の前にやってきた。 70そこらのおばあちゃん。 繁華街の逆側を少し歩いたところには住宅街があるから、そこに住んでいるんだろう。 このおばあちゃんはだいたいいつもこの時間にこの場所にくる。 それを知っている僕も相当ヤバいやつな気がするが。 おばあちゃんがここで待っているのは。 ー…あ、来た。 周りの人を上手く避けながら、最速でおばあちゃんの方に歩いてくる。 猫だ。 どうやら散歩のあと、おばあちゃんと落ち合うのはここらしく、いつもこの時間帯におばあちゃんと猫を見かける。 小汚く見える世の中にも、綺麗に見えるものがまだあるのかと思うと、少し嬉しくなる。 おばあちゃんは猫を抱くと、住宅街の方へ消えていった。
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