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この日の思考は、専ら桜子をどう守るかに徹底された。
ストーカーのように後を付けても、自分が不審者になってしまう。
だからといって、友達に相談するわけにはいかない。巻き込んでは大変だ。
警察は、まだ早い。
父に相談しよう。
光一は思い立ち、あの日を共有した戦友に知恵を借りることにした。
この日初めて思考を休めることが出来た光一は、宿題を済ませて、夕飯までの時間をテレビゲームで潰した。
窓の外が濃紺に沈み始めた頃、光一は腰をあげてカーテンを閉めた。
と同時に、階下から母親の声が届く。
ゲームをセーブして電源を落とし、夕飯のためにダイニングに顔を出した。
この後からの記憶は、断片的にしか覚えていない。
父は帰って来なかった。
この日から永遠に。
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