楽園 1 誰も知らない

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楽園 1 誰も知らない

彼岸花で白はめずらしい・・・と思う。 花は詳しくないから『たぶん』。 「なんか淋しそうやけど綺麗やなあ」 川沿いに咲く彼岸花を 眺めながら言う夫と散歩。 「毒あるから触ったアカンで」 なんて・・・聞いた話を言う、 花は詳しくないのに。 私達は春に転勤で名鉄犬山線の 桜並木で有名な町に越してきた。 私は旅行好きで他所好き。 転勤は苦にならない。 「別天地やなあ」 呑気に仙台、東京、松山・・・ と、やって来た。 桜並木にツラレて ここを住処にしたけど正解。 桜以外も町の人の気遣いで いつでも綺麗な花が咲く。 花以外にも人もいい。散歩の途中に 「おはよう」「こんにちは」「今晩は」 川沿いに響き合う。特に、 「おはようございます、お早いですねぇ」 最近ベンチ前ですれ違う御婦人が上品。 上等なもんを着てるわけでもないけど 着こなし上品、声も上品。 「ありゃなかなかインテリやで」 下品な関西弁の夫も言う。 ちょっと気をなるのが (なんか会うたことある気ィする) つい思ってしまうこと。 (まあ人間なんか皆似たような顔やわ) で・・・ 気にとめることもなかった。
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