【三】

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【三】

 メイリアはひどく混乱していた。ほんの少し前、自分がセインに向けて矢を放った記憶があった。左手は弓があり、右手の指には矢を持っていた感覚が残っている。なのになぜか、体は地面に仰向けになっており、その上にはセインが馬乗りになっていた。 「久しぶり……」  最初に口にしたのはセインの方だった。 「うん……」  メイリアはそう答えるのがやっとだった。 「教えてほしいか? 何があったのか」  自分が今一番知りたい情報に、素直に頷いた。それが分かるなら、セインが馬乗りになっていることなど、どうでもよかった。 「お前の放った矢に、俺の槍がちょうど当たって矢が弾け飛んだんだ。どっちも凄まじいエネルギーだったからな。お前は矢の破片を浴びてひっくり返ったんだ。多分精神的なショックもあったんだと思う」 「槍が飛んできた? どうやって……」  声が出た。自分が生きていることが分かって、メイリアは密かにほっとしていた。 「『ヘラクレスギア』だ。知ってるか? お前と離れてから修行してな。なんせソロで狩りしなきゃいけなかったからな」 『ヘラクレスギア』…筋力トレーニングと体術によって肉体を鍛え抜いたところに自己暗示と魔力を加え、一時的に超人的な筋力を発揮させるスキル。これをセインは身につけていたのだった。
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