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ある日、突然母から父の余命を聞かされた。
泣きながら説明をする母に、私は普段話を聞くときと同じように相づちをうった。
『あと一週間』
残酷な言葉が頭の中をふわふわとめぐる。
ありえない。
意味がわからない。
悪い冗談ではないかと思った。
お父さんが…死ぬ?
何それ。
嘘だ。そんなの嘘に決まってる。
先生の診断が間違ってるんだ。
涙が出そうになるのをぐっとこらえた。
泣いたら余命を受け入れたことになる気がしたから。
それにまだここは病院。
父に涙を見られるわけには行かない、絶対に。
その後、病室では努めていつもより明るく振る舞った。
でも、夜が来ると涙があふれてくる。
真っ暗な自室で誰にも気づかれないように泣いた。
涙は拭いても拭いても止まらない。
山のように積まれていくティッシュ。
いつしか泣き疲れて寝ていた。
そんな日々が毎日続いた。
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