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鼻歌交じりに歩いていると、見えてきたのは木製の古びた家。
決めた、次はこのおうち。
コンコン、ドアをノックして、深呼吸して声を出す。
「こんにちは、ぬくもり宅急便です!!」
扉が開いて出てきたのは、ボロボロの服を着た怖い顔のおじいさん。
おうちの中は穴だらけ。隙間風がびゅーびゅー吹いている。
「わしは何も頼んどらんぞ!!帰れ!!」
「いいえ、あなたにお届けものです。今出しますので、お待ちください。」
持ってた袋をゴソゴソ漁ると、出てきた出てきた。この人にぴったりな『ぬくもり』が。
小さな紙袋を手渡すと、おじいさんは僕を睨んで勢いよく扉を閉めた。
少しその場で待っていると、中から聞こえてきたのは涙声。
「この半纏は…死んだ婆さんが作ってくれたものにそっくりじゃ…。嬉しいのう、暖かいのう…。」
亡くなったおばあさんを思い出せて、おじいさんはとっても嬉しそう。
よかったね、よかったね。
喜んでもらえて、僕もとっても嬉しいな。
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