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それから、お母さんロボットとの生活が始まった。
お父さんは僕と同じほどお母さんロボットを愛した。
お母さんロボットは家事洗濯と母親の役目をこなしてくれている。
僕とも遊んでくれて、充実した日々が流れているように思われた。
しかし、ある日家に業者がやってきて、お父さんに言葉を投げる。
「修理をするロボットはどれですか?」
お父さんは「ちょっと待って」と業者にスリッパを用意する。
そして、「こちらです」と家のなかへと案内した。
お母さんロボットは業者の方を見てお辞儀をする。
あぁ……と僕は寂しさがこみ上げてきた。
きっと、お母さんは連れていかれてしまうのだろう。
そういや最近、お母さんの動きが鈍かった。
僕はそれを言う術を持っていなかったから、お父さんには言わなかったけれど、お父さんは気付いていたのだろう。
業者はお母さんの姿を見て、「あぁ」と息をもらした。「これはまだ大丈夫ですね」
これは?
「問題はこちらですね」
業者は僕の前にやってきて、僕の顔をマジマジと見る。
「声帯もやられているし、足も動かない。でも思考は出来ているようですね」
業者の人は、僕の背中に手を回して何かを触った。
その瞬間、目の前が真っ暗になり、僕は……
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