ロボットのぬくもり

3/3
前へ
/3ページ
次へ
それから、お母さんロボットとの生活が始まった。 お父さんは僕と同じほどお母さんロボットを愛した。 お母さんロボットは家事洗濯と母親の役目をこなしてくれている。 僕とも遊んでくれて、充実した日々が流れているように思われた。 しかし、ある日家に業者がやってきて、お父さんに言葉を投げる。 「修理をするロボットはどれですか?」 お父さんは「ちょっと待って」と業者にスリッパを用意する。 そして、「こちらです」と家のなかへと案内した。 お母さんロボットは業者の方を見てお辞儀をする。 あぁ……と僕は寂しさがこみ上げてきた。 きっと、お母さんは連れていかれてしまうのだろう。 そういや最近、お母さんの動きが鈍かった。 僕はそれを言う術を持っていなかったから、お父さんには言わなかったけれど、お父さんは気付いていたのだろう。 業者はお母さんの姿を見て、「あぁ」と息をもらした。「これはまだ大丈夫ですね」 これは? 「問題はこちらですね」 業者は僕の前にやってきて、僕の顔をマジマジと見る。 「声帯もやられているし、足も動かない。でも思考は出来ているようですね」 業者の人は、僕の背中に手を回して何かを触った。 その瞬間、目の前が真っ暗になり、僕は……
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加