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こないだまであんなに暑かったのに。
今はこんなに厚着をしてもまだ息が白くなるくらい寒い。
今、私はヒートテック2枚にセーター。その上にモコモコのコートまで着ている。
そしてマフラーをぐるぐる巻いている。
手袋を忘れたのが本当に辛い。
なのに、どうしてこんなに寒いんだ!
あぁ。早く暖房ガンガン効いた部屋でモコモコのルームウェアを着て、こたつに潜りたい。
そう思いながら手を口に当てはぁはぁと息を吐いた。
「はじめー。寒いね。」
「手、繋いだらあったかいよ。さくら。」
「いきなり照れるんだけどー。でも。あったかいね。」
私の隣をバカップルが通り過ぎていく。
そう、せめて私の隣でぬくもりをくれる男の子がいたら。
でも、そんな人いないんだよな。
「おーい!奏ー!」
この声は…。
私の名前を大声で叫んでる、
「優ちゃん?」
優ちゃんというのは私の幼馴染の瀬間 雄太。
いつもバカやってるけどなんだかほっとけない。
今だってこんなに寒いのに半袖、短パンだし。
感覚麻痺してるんじゃないかと思う。
「寒くないの?見てるこっちが寒いよ。」
走って息を切らした優ちゃんの息は白い。
「寒くないよ。」
「嘘つかないの!息、白いじゃん。」
「じゃあ、奏があっためてよ。」
そう言って優ちゃんは私の手を握った。
こんなに寒いなに優ちゃんの手は温かい。
「優ちゃんの手温かいね。」
「心があったかいからだよ。」
「それは手が冷たい人でしょ?」
私が笑いながらいうと。優ちゃんは私の顔を覗き込む。
「俺、優しくない?」
「優しいよ。」
「ねぇ。奏。今、めっちゃ顔赤いよ?」
「寒いからだよ。そういう優ちゃんも真っ赤だよ。」
「俺も寒いんだよ。」
「そんな薄着するからだよ。優ちゃん。相変わらず元気なんだから。」
「ねぇ。いい加減優ちゃんって呼ぶのやめてよ。」
「だって長年の癖だもん。」
「女みてーじゃん。」
「ゆうた。そんな事気にするなんてまだまだ子どもだ…」
突然温かいものが私の唇に重なる。
「うるさい唇は塞がせてもらった。」
「ゆうたの。バカ。好きになっちゃうじゃん。」
「俺は昔から好きだけど?」
子どもっぽく笑うゆうたに私はベッタリくっついた。
人肌恋しい季節だから。
君と熱を分け合いたい。
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