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散歩にも飽き。帰路に着くことした。不意に背後から、声をかけられた。
「ヒロキくん?」その声は、よく聞き覚えのある。僕を疲れさせる声だった。
「やっぱり、ヒロキくんだ」
「そうだけど」何だか、少しだけいつもの気分で話せない自分が、そこに居た。
「珍しいね?ヒロキくんと休みの日に会うの」
「かもな」と、言ったが初めてだったと思う。
「何してるの?」
「散歩」
「へぇ~、散歩するんだ?」「散歩しちゃ悪いか?」
「全然」
あれから、どれくらい沈黙が続いただろうか。彼女がこんなに話さないのは、初めてだった。いつもは、もっと明るく話しかけてくれた。そんな気がした。
「じゃぁ、私はここで」そんな事を考えているうちに、彼女といつも別れる道まで、着いていた。
「あぁ」
「じゃぁ、また月曜日ね」
「あぁ」彼女の帰ってく後ろ姿に、悲しみ似たような、切ないような、胸を締め付けられる感情が芽生えた。
それから、家に帰り。部屋でゆっくり音楽を聞いた。部屋に居る時は、音楽を聞くか、寝るかの選択肢しかなかった。なんだか、惨めた気持ちになった。初めての気持ちだった。
「ドンッドン!」部屋の扉を叩く音がした気がする。だから、無視した。
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