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「おい、ヒロキ!」
「…ん?」
「ん?じゃない!」
「夜なんだから、静かにしろよ」親父は、常識がないというか、何というか、自分勝手だ。
「お前、高校出たら暇だろ?」
「暇じゃねえよ!」
「やりたい事でも見つかったのか?」
「んな、訳ねぇだろ!」
「じゃあ、暇だな。高校出たらウチの仕事場で働け」
「はぁ?」でたよ、親父の自己中発言。
「決定な!」
「はいはい」面倒だから、いつも通り流した。
「お前、好きな子とかいないのか?」
「はぁ?」
「父さんの若い頃は、もっと恋とか、楽しい事とか、したぞ」
「それは親父の話だろ?」
「まぁな」
親父はいつもこんな感じだ、自分の行き方が最高で、これ以上に最高のモノは、他にないかのように。
「でも、ヒロキ。恋はすべきだぞ?」
「何で?」
「人を好きになるって事は、簡単な事じゃない。すげぇ繊細でな、切なくてな、苦しいもんだ。だがな、それを乗り越えた時には、すげぇ物が待ってんだ」
「すげぇ物?」
「今のお前には、分からんさ。ガキだからな」
「うるせえ」
「まぁ、恋の一つでもして、少しは大人になりな」
「はいはい」そうやって、いつも流してきた。「はいはい」って言うと、親父は飽きたように部屋を出てった。
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