怒る女

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    怒る女

“僕にはね、理想の女性像があって、それに君が一番近いんだ。前向きに検討してほしいな。これが僕からの頼み事”  他ならぬ侑李くんからわたしへの頼み事。透明人間のようなわたしは、誰かから頼りにされたことがない。だから、任されたことをやってみたいという気持ちもあったし、何より侑李くんに好かれたい。 (きっと、王子様が透明人間を好きになることなんて無い。だけど、少しだけでもいいから気に入られたかった)    朝の登校中、そんなことを考える。  マーメイドのコンテストに誘われ、腹を下したのは昨日の出来事。一晩考えたけど、わたしの考えは変わらなかった。 「そういえば今日、俺のクラス席替えやるらしい!」  学校まであともう少しの坂道。わたしの少し手前を男子生徒2名が歩いていた。今さっき喋ったのは、隣の席の高橋くんだ。彼の話によると今日でお隣さんじゃなくなっるってことか。 「へー! 席替えって学校生活を左右するビックイベントだよな!  今は誰が隣座ってんだよ? 可愛い子?」    わ、わたしです!   高橋くんと一緒に歩く恐らく違うクラスの友達が、高橋くんに質問をする。     
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