「人魚になれよ」

2/5
46人が本棚に入れています
本棚に追加
/212ページ
「ーーネイリスト?香水?」  わたしの質問に、「僕まだ全然伝えてなかったんだね」と少し舌を出した侑李くんが説明し始める。 「コンテストに出す女の子は、僕らのような高校生がプロデュースするんだよ。つまり、この大会は女の子の美とプロデュース側の腕を競う場なんだ。  朝陽にはネイルだったり、香水選びだったり、入部したてだから細かいところを任せている」  クリーム色の髪をした朝陽くんと目が合うとまん丸の目でにこりと笑われた。 「そして、陽翔はヘアメイク。髪によって人の印象は8割決まる。すごく重要だとなポジションだ」  こんな芸能人みたいな人がヘアメイクーー。される側じゃなくてする側なのか。 「僕は洋服担当!コンテストの服装を決めるんだ!」  そう言って侑李くんは自慢げに横幅3メートルはありそうなクローゼットを開けた。中にはたくさんい洋服が敷き詰められている。一着一着が高そうで、宝石箱のようだ。 「そしてこの仏頂面の梓がメイク担当。君の顔をつくる人だ」  こんないかにも雄って感じの人がメイク!? ライオンにシルバニアファミリー持たせるようなもんだろ! 「君の顔をつくるって……、俺はこいつをモデルとして認めてねぇ!     
/212ページ

最初のコメントを投稿しよう!