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「えーっと……。女の子なのは確かなんだよな……。消しゴムを拾ってもらったこともあるような……」
拾ったよ! お前のくまちゃん消しゴムをな!
高橋くんは野球部なので坊主頭だ。そんな彼がくまの形をしたあまりにも可愛すぎる消しゴムを持っていたので、鮮明に覚えていた。
「でも、全く可愛くなかった気がする」
わたしの足はぴたりと止まった。酷い。優しそうな顔して酷すぎる。消しゴム拾ってあげたし、教科書忘れたとき見せてあげたのに!
ここで「お~い! 本人ここにいるってば!」とか言ってフレンドリーに登場できたら、人生楽なんだろうけどそんなのしたら、確実に心臓が止まる!
「お前がそう言うってどんだけブスなんだよ……」
昨日今日ってブスブス言われすぎてわたしのガラスのハートが粉砕しそうだ。世の中、ブスに厳しすぎじゃない?可愛いだけで人生得するシステムどうにかしてほしい!
「ていうか、俺は今隣の席の人いないんだよなー」
「え、なんで?」
「いないっていうか、隣の席が花みたいな。
――俺の隣の席、一ヶ月前に亡くなった吉川 #瑠華__るか__#さんだったんだよ」
強い風が吹いた。わたしの長いスカートがカラッと乾いた風に揺れる。
「えー! うらやましい! ほんとめっっっちゃ可愛かったよな!
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