水曜の雀

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「おはよう」 「うるさいね」と新入り雀は言った。 「目覚まし時計だよ」と僕が教えると同時に、ベルの音が止まった。 「そんなことは知ってる」と彼女は僕をばかにした口調で呟き、「それより、タナはここで何をしてるの?」と言った。 「毎朝、ご飯がもらえるんだ。だからそれを待ってる」  僕はあの人を待ってる、とは言わなかった。なんとなく、新入り雀と、あの人の話をしたくなかった。 「おはよう、タナ」  キナもやって来た。そして僕の横に寄り添うように並んだ。 「おはよう、キナ」  僕は窓をじっと見ながら言った。
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