水曜の雀

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 その時カーテンが開き、あの人が、いつものように窓を開けた。 「今日も三羽いるね。昨日の子かな?」  あの人はパンをまきながら、楽しそうに微笑んだ。「仲良くね」  僕とキナはいつものようにパンをついばんだ。新入り雀は、僕らの背後からじっと見ているだけで、食べようとしなかった。  あれ? あの人の後ろに、珍しいやつがいる。あの人の旦那だ。 「早いね」とあの人が僕らを見ながら言う。 「仕事だよ」と旦那が言う。 「今日はここに泊まるんだよね?」とあの人。 「いや。仕事で遅くなる予定だから、会社の近くのホテルにでも泊まる」と旦那。 「行ってらっしゃい」
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