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気になって気になって仕方がなかった僕は、なんとその日、巣に戻らなかった。そしたらやっぱり、その夜、気味の悪い女からあの人に電話が入った。窓が開いていたので、話は丸聞こえだ。
「由亜ちゃんどうしたの? え、つけられてる? 大丈夫? 警察に電話しようか?」
あの人は、とっても心配そう。嫌な予感だ。嫌な予感だ。
「うちに? ああ、確かにそうだね。うん、大丈夫。住所を送るから、人通りの多い明るい道を通って来てね」
十分も経たずして、気味の悪い女は疲れた表情でやってきた。僕はそっと窓に近づく。
「夜遅くにすみません」
「いいのいいの。それより不審者の顔は見た?」
「怖くて見れなかったです」
「そっかぁ。そうだよね。怖いよね」
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