水曜の女

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「それはまだ、空欄でした」 「空欄かぁ」と言いながら同時に思う。  これ以上言っちゃいけない。これ以上言うと由亜を傷つける。それなのに、口からすらすらと言葉が勝手にこぼれ出る。 「ちょっとだけ厳しいこと言っちゃうけど、それって、もしかして由亜ちゃんを繋ぎ止めたいだけの嘘かも。結婚って二人だけの問題じゃないし、由亜ちゃんは結婚したことがないから、わからないと思うけど、離婚するのって結婚よりも難しいっていうのは、実際問題あると思うんだ。お互いの両親とか、世間体とか、いろいろ絡んでくるから、時間はかかると思う」  真っ白い顔の由亜が、大きな瞳でじっと私を見ている。私は彼女から視線を逸らすが、言葉は堰を切ったようにあふれ出て止まらない。 「それに人の心は変わるし、あまり期待しすぎないほうがいいかも。私ね、無責任に期待させること言いたくなくて。由亜ちゃんが傷つくの見たくないから」 「いいんです」
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