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由亜がふいに声を震わせた。そして、「不倫だってわかってますから……」と涙を浮かべた。
そこでようやく、私の口は止まった。
「あ、嫌なこと言ってごめん。これは一般論だから。二人のことは、二人が一番わかってるよね」
取り繕っても遅い。私は今、すごくいじわるなことを言ってしまった。これはきっと嫉妬だ。美しくて若くて、愛する人に愛されている由亜への嫉妬。
最低……。
先に寝ててねと言って、逃げるように風呂場に向かった私に、「おやすみなさい」と由亜が言った。
振り返ると、そこには、いつもと変わらない由亜の笑顔があった。
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