6人が本棚に入れています
本棚に追加
私は耐えきれずテレビを消した。
その時、ガチャリと鍵が開く音がした。孝志だった。
私は掴みかかるように孝志に近寄り、口を開いた。
「ねえ、ニュース見た? うちの会社の子、しかも私が仲良くしてた女の子が殺されたんだよ。犯人も捕まってないし、もう怖くて」
誰かと話をしたかった。恐怖を吐き出したかった。私はしゃべり続けた。
「きっとストーカーが犯人だと思う。事件の前日に、その子からストーカーにつけられて怖いって電話があったの。あ、だからその日はうちに泊めたんだけど」
「泊めた?」矢継ぎ早に話す私の顔を、孝志は覗き込んだ。「泊めただって?」その顔がさっと青ざめる。
「うん。殺されたのが昨日の午前中みたいだから、うちから帰ったあとすぐなんだ……」
私の心に、再び後悔の念が渦巻く。
「お前、顔色悪いぞ。なんか食ったか?」孝志は、無表情に私を見つめた。
「え? 夕食は食べてないけど」私も孝志を見つめた。
最初のコメントを投稿しよう!