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孝志のまいたパンに、雀は警戒しているのか、しばらく近寄って来なかった。しかし数分後、雀はふわりと地面に舞い降り、パンをついばみ始めた。
「やっぱり雀ってかわいい」
私の言葉に孝志の表情が緩んだ。しかし、すぐにそれは張り詰めたものに変わった。
「あれは……」
そう呟いた孝志の視線の先に、横たわる雀。
「そうだ。埋めてあげなきゃ」
「いつから死んでた?」
「え?」
私がきょとんとしていると、孝志は「この雀の死骸が、いつからあったか訊いてるんだ」と詰め寄ってきた。
「いつって、そんなのわからない。昨日の夕方には、ここにあったけど」
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