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私が孝志の剣幕に驚きながら答えると、孝志は「きっと、見せしめだ。間違いない、あいつだ」と何やら小声で呟きながら、よろよろとソファーに座り込んだ。
「え、何? 見せしめって?」
問いかけたが、孝志は青ざめた顔で、ぐったりと俯いたまま何も答えない。
そのあまりの姿に、私は孝志の横に座り、「大丈夫?」と肩に手をあてた。すると孝志は、「遊びだったんだ」とか細い声を出した。
「え?」
「心斎橋のバーで飲んでたら、突然声をかけられた。若くて、しかも、ものすごい美人だった」
孝志はそう言って、歪んだ笑顔を見せた。
「な、なに言ってるの? まさか浮気の告白?」
私は呆れた声をあげたが、その声が届かないのか、孝志は淡々と話し続ける。
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