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関係を持ったのは半年前。それも一度だけ、向こうから誘ってきた、酔ったはずみだったと、孝志は言い訳を並べた。
そして、その一度を境に、由亜はだんだんと変わっていった。執着し、詮索し、笑わなくなった。
最近では頻繁に大阪にまで来るようになり、孝志の罪悪感に付け込むように、奥さんと別れて欲しいと迫ったのだそうだ。
あまりのことに動揺し、思考がまとまらない。孝志が浮気をしていて、その相手が由亜で、しかも由亜は私が奥さんだと知っていた……?
つまり、吉田は孝志だったってこと?
混乱する私に、孝志は話し続けた。
「きっとあいつは、わざとお前の会社に入ったんだ」
「そんな……」
私が孝志の妻だと知っていて、私に不倫相談をしていたっていうの? しかもあんなに真剣に。あんなに涙ながらに……。
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