火曜の雀

1/4
前へ
/56ページ
次へ

火曜の雀

 僕らは毎朝この庭に来るけど、それは、あの人のくれるご飯だけが目当てってわけじゃない。  僕はこの庭のことも、とっても気に入っているんだ。  静かで、日陰もあって、風もよく通る。木の高さや花の種類、土の状態なんかも、すべてが僕の好みなんだ。  きっとキナも気に入っている。何も言わないけど、僕にはわかる。  僕とキナが梅の木に並んでとまっていると、あの人は窓を開け、いつものように「おはよう」と言ってお米をまいてくれた。僕とキナは、それを仲良くついばむ。 「あんたらって、いつも一緒で、仲良しだね」  あの人は、ぽつりとそう呟いた。
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加