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何だよ?
「………あ、うん。いや、あの、ヤスの星座教えて貰おうかなって」
灰色の目でじっと無言で見つめた後、再び手にかけた占いの玩具に硬貨を入れた。
星座?俺はいいよ、そんなの。
「良いじゃん。もうお金入れちゃったしせっかくだから」
なんで入れちゃうんだよ先に。…別にいいけど。さそり座。
ルイに伝えると「さそり座ね」と言いながら占い玩具の側面に描かれたさそり座のマークに合わせ、ハンドルを回す。
回って小さな紙がポロッとルイの手に落ち、紙を広げた。
「うんうん」
どうだった?
「最悪だって」
躊躇なしに即答で結果が帰ってきた。
「ここの占い機は中身が日によって変わるんだ。マスターが占師で。今日は最悪だって」
ペラッと紙を机の上に置かれる。
読めるか読めないかほどの小さい神の上に、漢字ばかりびっしりと詰まっている。
「ここ、結構当たるんだよね」
やめろ。たかが占いだろ。
「されど占い。ここの占いで最悪の結果が出て不幸な目にあった人三人知ってる。一人はサイファ、真上で下水管が破裂して汚物まみれになってた」
汚ねぇ。
「次はユーハン。うちの住宅の水商売カップルの喧嘩に巻き込まれて、上腕とあばら骨二本骨折」
何があった。
「そして最後が僕」
お前かよ。
「喧嘩してカレンに仲直りのハグしようとしたら、関節技と背負い投げ決められた」
弱っ。
「このように不幸は立て続けに起こりました。なんかあったら教えてね」
言わねーよ。なんで笑顔なんだよお前。
…不吉だ。たかが占いだろと信じちゃいないが…。
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