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「マオマオね」
「ねぇルイ?面白そうだから探してみません?」
一通りの話を聞いて、今ユーハンと会ったばかりのはずのカインは、何故かノリノリでルイにそう話し掛けた。
「え?でも君、今日仕事があってここに泊まるんじゃないの?」
…仕事?お前、学生じゃないのか?
「おや、学生に見えました?よく言われるんですよねー。もう、ちゃんとした大人ですよ」
…そうなのか?すまん。
見た目がシンプルつーか、ルイと並ぶと同じくらいに見えたから学生かと思っていたが、ルイよりも俄然年上だったらしい。
「マジか。俺も学生だと思ってたぜ。仕事なにしてんの?」
「営業職、というべきですかね。その関係で今日クーロンに伺ったんですが、仕事が夜なもので、終わって帰るのも面倒臭く。ついでですから、ルイの所で匿って頂こうかと」
「なんだ、ついでに言えば外の人間か」
営業、か。しかも夜に仕事ってのが何か気になるがあまり詮索はしない方がいいかもしれない。
「つか、協力的なのはありがたいけど、夜に仕事なら探すのは難しいんじゃねーか?」
「仕事の方は簡単に片付くものなので大丈夫です。呪いの人形の方が興味あります」
呪いの人形の方が興味あるってどういうことだ。笑顔でサラッと言いやがったが。
というか、探すんなら昼間の方がいいんじゃないのか、夜に本当に動くんなら動かない昼間の方がいいだろ。
「それじゃ面白味に欠けるじゃないですか?」
いや面白味に欠けるとかそういう話じゃないだろ?
「だって、クーロンの都市伝説なのでしょう?この際、どう動くものか見てみたくないですか?」
「確かに」
「言われてみれば…実際動くところは見たことないよね」
おい同調するな、何を同調してんだ二人とも。別に信じてねーけど、ヤバイものだったらどうするんだよ。
…あの仏像みたいに。
「なんだよ、ヤスも結局怖いだけじゃんか!」
怖いって言ってねーだろいい加減にしろ。
殺しにかかってくるデカイ仏像よりもヤバイパンダがいることを教えてやろうかテメェ。
なんでこう、ここの物探しって言うのはヤバイ臭いしかしねーんだよ?
「じゃあ決定です。夜にその人形捜索してみましょう。楽しみですねー」
「そだねー。サイファ達にも声かけて皆で探してみよっか」
まてまてまて、こいつが来てから話がだいぶ先に進んでないか?
「貴方は勿論来るんですよね?動く人形なんて撮れたら、そちらではだいぶスクープでしょう」
スクープはスクープだが、オカルト雑誌じゃねーんだよ。それに、夜は写真禁止だから俺。
「まぁまぁいいじゃないヤス。今回は皆もいるし行こうよ。それに、大人がいてくれないと不安だし、さ」
「おいちょっと待てコウ、俺は?俺は大人枠に入ってるんだよな?」
「丁度やりたいと思ってたんだよねー肝だめし」
「コウ!?コウちゃん!?無視!?」
………
いや、まぁ別にいいんだけどよ。昔華厳の滝とかホラースポット行ってたりもしてたし。別にそこに関しては抵抗ないが、危険を感じるのはそこじゃねぇんだが。
結局、俺はルイと友達のカインに丸め込まれる形で人形の捜索に付き合わされる事になった。
恐怖のマオマオちゃん人形というのは、学校の裏手にあった店のマスコットキャラクターとして置いてあったカーネルサン×ースみたいな人形。あれよりも小さめらしいが。
それが、その店の閉店後、いつしか勝手に動くと噂される人形。
人形の髪が伸びると一緒で、ほとんど現実味はないはずだ。こっちにはグェイというもんは出ないと聞いていたから、実際害はほとんどないと思っていた。
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「「いやぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」
そうたかをくくって、安心していたのが間違いだった。
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