3 閉鎖的な日常

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あまりいい存在じゃない…?………あぁ、なるほど。 横目で見たダミアンの表情からしても、何となくその意味が分かった。 よく不法入国者が隠れ住んでるって話あるもんな、警察も政府も入り込めない場所だって言うし。 「Mr.ラオとの決まりで、あの人達は昼間は地下から出てこないんだ。だから昼間からこの辺りで騒ぎを起こすなんて稀なんだけどね。…一体、どうしたというんだろう?」 「『大脳通信』で誰かに聞いてこよっか?」 頭をひねって考え込むダミアンに、机の横にぶら下げたピンク色の鞄の中から、つい最近日本でもブームとなっているゲームボーイのスケルトンの電子機器を取り出しカレンがちらつかせた。 大脳通信?それ、ゲームボーイの事か?つーか、日本で発売されたばっかなのにもう中国にまであるのか? 「え?あぁ、違うよー。これは確かにゲームボーイだけど、大脳通信って言うのはゲームボーイでメッセージとかチャットをやり取りするためのソフト」 …そんなソフト、あったか?まだマリオくらいしか出てねぇし、そもそもそんな機能あるのかあれ? 「多分こっちにしかないかもー。ゲームボーイもどうやってここに運んだのか分かんないし、ソフトは完全誰かが考えたオリジナルね。でも便利よーこれ!ティーンは皆持ってるもん」 色んな人とチャットとか出来るんだもんと、カレンはゲームボーイを見せびらかしてくる。 …要は違法改造ってやつか。でもすげぇなそれ。特許取ったらバカ売れ間違いなしじゃねぇの。 「でも、有線でわざわざ公衆電話かお店とかにある固定電話に繋げてないと出来ないって言うのが残念。それに結構文字化け酷いし、ルイはいっつも返すの遅いし」 「だって公衆電話まで部屋出て階段降りなきゃだし、地味にそこから遠いし、長く占拠してると早くしろって怒られるし」 「なんか出ないかなぁー!有線じゃなくて無線で、寝ながらでもちょちょちょーってやり取り出来るようになれたりしない?可愛い文字とか絵とか送れたりさ?」 「んー。もうちょっと技術が進歩したら出来るようになるかもね」 なるほど。それなりにデメリットはあるってことか。けど、俺はあんまし文字のやり取りは好きじゃねーな。
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