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考えの整理が追い付かない。
急に色んなものが動き出したかと思えば、今度はでっかい仏像が怒りの表情を向けて襲いに来た。
俺の手を引っ張り前を走ってるヨミは、この間にも周囲に目を光らせるように俺に言う。
そうは言ったって…周りにはなにもない。
後ろはでかい仏像の何体かがゆっくりと俺達を追ってくる。今まで通ってきた道よりは広いが、いつ行き止まりになるのかも分からない。
つか…色々あり得ないことが多すぎだろっ!!!!!!
どこまで逃げる気だ!?
「わかんないっ!でも本当どっか近くにいるはずなんだよ!!」
くそっ!こうだとわかってたら絶対来なかったのに!!
「ほっといたら上だってあんなの出てきてたかもよ」
アホな事言うなっ!!
ヨミに引っ張られるまま走るしかないが、後ろを振り返ると、かなりまずい事に、仏像のうち一体が俺らに向かって何か振りかぶっている。
__あぶなっ!!!!
まずいと反射的に動いた体が壊すわけにいかないカメラを抱き込み、前を走っているヨミも巻き込んでちょうど横にきた狭い道幅の通路に滑り込んだ。
それと同時ギリギリで背中に風圧の衝撃がのし掛かる。俺達がいた場所に、仏像が振りかぶっていた仏像の一部が落ちてきた。
パラパラとコンクリの床が潰れている。
おい!平気か。
抱き込んで滑り込んだ先で床から起き上がるヨミに声をかけた。
「平気。あれ、マジで私らの事やろうとしてんね」
言ってる場合か!!カメラだってこれたけぇんだぞ!!
「とりあえず逃げよ。この辺にいればどっかにいるんだから。あ、ヤス後ろ」
ヨミの指差した背後を見ると、俺達の入った通路の隙間と隙間を…あの金剛力士が覗いている。まだ距離あったのにもう追い付いたのかよ!!
っ、行くぞっ!!
捕まる前に俺とヨミはすぐに狭い路地を走る。どこに続くのか分からない坂。今走ってきた水路のような場所よりは、元のクーロンのような生活感のある廃虚の道に見える。
何処にいるっつったって…本当に何処にいんだよ。勘弁しろよ…!
「全く…あいつら、どうにも変…」
わざわざ口に出さなくてもいい、全体的に変だって誰だって分かる。
「そういうんじゃなくて。私、セレネ達の探し物に付き合ってるでしょ?ただそれだけなのに…後を追ってみればいきなり要観に遭遇するってさ…」
そういうもんなんじゃねーのか?
「あんな複数体の物を操れて、このフロアを支配するグェイは、そうそう稀だよ…」
俺にはもう最初からかなり変だと分かってるから、何処がどう違うのかまで分からない。だが、ヨミが言うに偶然も不幸も過ぎてるってレベルではあるらしい。
_『今日の運勢は最悪だって』
………
あんなオモチャの影響なんて言うのはやめろよ。ルイのニコニコした愛想のいい顔がうざったくちらつく。
「ヤス」
ヨミの呼んだ声に俺達の足は同時に止まる。
「うわやばい、行き止まり?」
最悪だ。思ってた事が現実に起きた。
俺達が最終的にたどり着いたのは、もう先に行く道のない、行き止まりの閉鎖的な空間に作られた_神社。
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