5 潜む怪物と嗤う死神

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__「人形?」 ユーハンに呼び出され、部屋から出てきた人当たりの良さそうな眼鏡の少年、俺の隣に住む十代のルイの家の玄関前。 まぁどうせどうでもいい話なんだろうと冗談半分に聞く構えでタバコをふかす俺まで巻き込んで、ユーハンは最近起きたんだと言う話をし出した。 「学園の裏手んとこで食中毒の客を量産して閉店した饅頭屋あるだろ?あの前の人形が、夜になると人を襲うんだと」 「あー聞いたことある。中華娘の人形の事だよね?」 なんの話かと思えば、何だその都市伝説めいたくだらない話は。 「実際クーロンの七不思議の一つだよ。名付けて、“恐怖の猫猫(マオマオ)ちゃん人形“」 ど?ヤバそうな臭いするだろ?…なんて胡散臭いニヤケ顔で俺に言ってきたが……。 ………くだらねぇ。俺より歳食ってるくせしてそんなもん信じてるのかこいつ。 「ん?…なぁコウ?ヤスのリアクションなんか薄くないか?」 「大丈夫。ヤスはユーハンよりいくらか大人ってだけ」 「ちょちょちょっっ!!どーゆう意味だよそれ!!」 相変わらず息をするように作られる笑顔で十代に諭されるのもヤバイな。くだらない、聞いて時間を無駄にした。帰る。 「まてまてまてっ!!この話には続きがあるんだよいいか!?…俺の友達がよ、その人形が動いたとこ見たってんだよ…」 だから? 「いや、だからってマジなんだよこれ!!なんでそんな興味なさそうな反応するんだよお前!!」 実際興味ないから。 「酷い!!コウ!!ヤスがいじめる俺の事!!」 「あーよしよし、辛かったねユーハン」 ノリでかなり棒読みでユーハンを慰めているふりをしてるとはいえ、俺までバカにされてる気がするのはなんでだ? 「俺は本当の事言ったんだぞ!!てか最近皆そうだ!!あの猫猫(マオマオ)人形に襲われたって奴が続出して、Mr.ラオまで気にし始めたって話だ!!」 嘘つけ。たかが人形に襲われたってくらいどうってことないだ…………あー………いや、この間の事を思い出すと自信がなくなってくるな。いや、あれはかなり特殊な例だ。こっちにはあんなの基本でないってんだから関係はないはずだ。 「まぁーあの人形、彼処が閉店してから変だって噂は前からあったからね。食中毒で死んだ少女の霊が動かしてるとか、真夜中になるとうちの校庭全力疾走してるとか、毛沢東の両目に画鋲を刺して嗤うとか」 他の噂はまだしも、最後の人形とは限らないだろ。毛沢東嫌いな誰かの仕業だろ。 「それで?僕にその事で何か用があるの?」 「ほら、今Mr.ラオまで気にし始めたって言っただろ?その話が来てから、あの人形が店の前から忽然と消えたんだよ!!」 かなり大袈裟に言うが、誰かが移動させたって線はないのか。馬鹿馬鹿しい噂で迷惑した誰かが場所を移したとかよ。 「ねーよ!!あっこの人形を昼間だろうと動かそうとした奴はいないの!!一応あそこ、Mr.ラオの所有テナントだからな!!」 …まぁ、勝手に盗もうと思う奴はいないかもな。…あの顔を見れば。 「そんでさぁ…そのテナントなんだけど、俺一応、代理管理者なの。呪いの人形なくなったってだけで殺されちゃうかもなの、しかも曰く付きの人形だからめっちゃ怖いの。探すの手伝ってくれ生徒会長」 結局のとこ、自分の不始末未成年に片棒担がせようとしに来ただけかよ。
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