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俺の両親は、
相当な資産家で家も随分と裕福だ。
一人息子の俺はそんな家庭で、何不自由無く育てられた。
とは言え、俺にはずっと友だちと呼べる存在が皆無に等しかった。
「お前さ!
いっつもいっつも、自分ん家が金持ちって事をハナにかけて、めちゃめちゃムカつくよな!」
「ホントホント!
きっと私たちの事、心の底で見下してるのよね?!マジでイヤミなヤツ!」
と…俺の周りのヤツラは皆、口々にそう言った。
俺は、別にイヤミを言っているツモリも見下しているツモリも、さらさら無い。
俺の家が周りの他のヤツラより金持ちなのは、紛れもない事実。
事実を言って何が悪いと言うのだ。
と、言う訳で、
俺はずっと孤独な学生時代を過ごした。
しかし…
俺は、全く寂しさを感じる事は無く、休みの日は家で大好きな読書に耽った。
そう。
俺は、大の読書好き。
だから、下手に友だちを作ってソイツラから遊びの誘いとかを受けて大好きな読書の時間を削られのが嫌だったのだ。
それと…
自分で言うのも何だが…
俺は、相当のイケメンらしい…。
(正直、よく分からないが…)
俺は、金持ちのボンボンでイケメンという事で、結構な人数の女ドモから言い寄られた。
しかし、俺はそんな女ドモを全員ガン無視した。
やはり、下手にカノジョを作ってデートやら何やらで大好きな読書の時間を削られてしまうのが嫌だった訳だ。
女ドモは、何人も執拗に俺に近付いて来たが…
俺が全く興味を示さない事を知ると、
「ふん!アンタ、何様?!
ただのイヤミな金持ちのボンボンが!」
決まって、そんな内容の捨てゼリフを一方的に吐くと、俺の元から去って行った。
俺は、ただ大好きな読書ができさえすれば…
本当に、他に何も欲しくなかったんだ。
だから、俺は友だちもカノジョもできなくても全く苦にならなかった。
まあ、そんな訳で
俺は、とにかく様々な本を読み漁った。
そして…
そうしているうちに…
いつしか、
「ああ、いつか自分もプロの作家になりたいなぁ」
と、思うようになった。
いつの間にか、自分でも何か書いてみたくなったんだよな。
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