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さて。
そんな、ある時。
俺が、大学を卒業して間も無い頃の事…。
何と!
突然、両親が交通事故で二人とも亡くなってしまい、
俺に莫大な遺産と土地家屋がそっくりそのまま転がり込んで来たんだ!
かねてから俺は、
生前の親父から「お前は、社会に出たら俺の事業を引き継いで頑張ってくれよ」
と、言われてヘキヘキとしていた。
もちろん…
俺の将来の夢は、プロの作家になる事。
親父の事業を引き継ごうかどうしようか、内心で考えあぐねている時に、
両親ともに亡くなり、俺は自由に使える大金を手に入れた訳なんだ。
「よし!
これから、俺はプロの作家を目指す!」
と、俺はその事をきっかけに心の中で、そう宣言した!
俺は、作家になる為の十分な時間と金を手に入れた!
これを使わないテは無いじゃないか!
俺は、親父が経営していた会社の営業権やその他、事業に関する全てを親父の部下に譲渡して、
その代わり、俺は遺産と土地家屋全てを相続した。
俺には兄弟も親戚も全くいないから、面倒な遺産分与も無い。
相続税を支払っても、相当な金額が残った。
俺は…
仕事に就かずに、とにかく家にこもって、日々、自作小説を書き始めた。
そして、あちこちのクリエイター・サイトや出版社のコンテストに投稿し続けた。
目指すは、自作小説の書籍化!
その一点のみ!
俺は…
自分が書いた小説が本屋に並び、それをたくさんの人たちが手に取り、読んでくれる…
ただ、その事を想像するだけで、胸がワクワクと高鳴った。
もしかしたら…
「俺は、ただのイヤミで金持ちのボンボンって訳じゃないんだぜ。優れた小説だって書けるんだ」
と、世間のヤツラや女ドモに知らしめてやりたいと、心のどこかで思っていたのかもしれないな…。
しかし…
いくら、次から次へと自作小説をあちこちのコンテストに投稿しても…
結果は、全戦全敗…。
「よし!
次、行こう!次!」
と、俺はその度に、気持ちを切り替えて、次回のコンテストに投稿する為、また新たに執筆をして、そして投稿を続けたが…
やっぱり、落選し続けた。
その繰り返しで日々は過ぎて行った。
そして、やがては…
「何でだ!
何で俺の作品は、認められないんだ!」
あまりにも、落選が続き、俺の心には徐々にそんな焦りの念が募って来た。
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