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天国に”転生”?
明星(アキラ)は、目を覚ました。
まどろむ瞳であたりを見渡すと、自分は白い雲の上に横たわっていることに気づく。太陽の光が明星に降り注ぎ、彼の眠気が一瞬で消え去った。自分が置かれている状況について、深く考えるまでもなく、結論は明らかだった。
「俺・・・死んだのか?」
絶望感は一瞬だけで、すぐに安心感に満たされた。なぜなら、ここはどう見ても、天国なのだから・・・。
「良かった。天国に行けたんだ」
一安心したものの、疑問は山積みである。
「えーーと、俺はなんで死んだんだったかな?」
記憶を辿ると、まず、燃え盛る炎が迫ってきた。そして、炎の中でもがく自分の姿が見える。
「火事に巻き込まれたのか・・・苦しかったろうな・・・」
明星は、まるで他人事のようにつぶやいた。
「ええと、それから・・・?一体なんで、火事に巻き込まれたんだっけ?」
最後の瞬間は鮮明に見えたが、そこから、記憶の逆再生ができない。肝心な部分の記憶が完全に消えさっているようだ。
「ああ、駄目だ思い出せない」
行き詰った明星は、腕を組んだ。二本の腕が互いに絡み合った瞬間、「暖かい・・・」明星は、自分の両腕にぬくもりを感じた。心地よい・・・幸せな感覚・・・。
もちろん、自分の体温によるものではない・・・明星ではない誰かの体温が、彼の腕に残っているようだ。
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