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それでも娘が来てくれるのは嬉しかった。
ひとりでコウさんをみているのは辛かった。
視野は狭いけれど、勝手の知った家の中は自由に動ける。
コウさんに肩を貸して、トイレもお風呂も、家の周りだけのお散歩も
コウさんが私の目になり、私がコウさんの足になり
ずっと手を繋いで、肩を組んで歩いてゆけたのに。
コウさんの痛みが辛くなって、先生がもっと強い痛み止めをくださると
家での介護は無理になり、入院になってしまった。
私も娘も毎日コウさんのそばにいた。
コウさんは痛みも軽くなり、食事も無理強いされなくなり、
大好きな煙草もこっそり吸わせてもらって、とても満足そう。
でも私が家に帰ろうとすると、子供のように駄々をこねた。
それが哀しくもあり、辛くもあり、嬉しくもあった。
コウさんはいつも私を求めて必要としてくれて、大切にしてくれていた。
何も言わなくても、私を解ってくれていた。
大切な大切な、大好きなコウさん。
私がまだ恋という物すらわかっていなかった十代の初めから
私だけを愛してくれた人。
あなたがいなくなってしまったら、私は生きて行けるのかしら。
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