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不思議だね? こうしているとコウさんがいないなんて嘘みたい。 写真のコウさんはすました顔をして笑っている。 家の中を見渡すと、どれを見てもコウさんの思い出が蘇る。 その度に涙が溢れるけど、こうしてずっとこのまま何もしないでいられたら こんな想い出もみんな、何もかも忘れずにいられるかしら。 コウさんがずっと使っていたベッドに骨壺を持って来て そっと抱えて横になってみる。 コウさん、窮屈じゃない? もう痛くない? ひとりぼっちは淋しい。 コウさんに会いたいよ。声 が聴きたいよ。 コウさんごめんね。 いっぱい謝りたい。 いっぱい大好きって言いたい。 もっともっとたくさん喜ばせたり笑わせたりしてあげたかったよ。 それから 何千回も何万回も言っても足りないくらい、ありがとうって伝えたい。
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