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生まれ変わった私は、ずっと暗闇の中で生活をしていた。
それゆえに自分の毛色が何色かなど確認することが今までできないでいたのだが、ある程度成長して今日初めて自分の毛色を見ることができたのだった。
私は隙間から漏れる光に両方の前足を当て眺めていた。
そこには美しい白い毛並みが隙間風に揺らされなびいていた。
あの神に騙されたのではないかとヒヤヒヤしたが、どうやら本当に白い毛色の生き物に生まれ変わらせてもらえたようだ。
しかし自分でも惚れ惚れとするその毛を持つ足は猫の物ではなかった。
猫の物ではないのだがどことなく見覚えのある足。だけど、何の足だったかどうしても思い出せない。私は気になってしまって、自分の顔を確認すべく外へ出ることにしたのだった。
外はやはり美しい青空が広がっていた。それだけで世界はいつも以上に広く感じた。
少し進むと水たまりを発見することができた。
これ幸いにと私は駆け寄り、その水たまりを覗き込む。
期待に満ちて覗き込んだのだが、私は自分の姿を確認してでてきたのは悲鳴だったのだ。
水面に映る自分の姿が、自分の物だと信じたくなかった。
まさか、そんな……。
恐る恐るもう一度水面を覗き込んだがやはり結果は変わらなかった。
絶望しかなかった。確かに白く美しい毛を持ってはいた。それでも私が求めていたものではなかった。
神が何を考えているのか分からず呆然と水面を眺めていると、私の後ろで何かの影が動いたのが映り込んだのだった。
それは馴染み深くも忌まわしい影。
恐る恐る振り返ると同時にその影が私に向かって伸びたのだった。
私は間一髪それを避けると全速力でそこから逃げるのだった。
逃げるので必死だった。
なんで私が逃げなければならないのだ、白はこの世の絶対の色のはずだと言うのに!
声に出して叫んだ。しかし叫んだところで影が止まってくれる訳ではなかった。どこまで逃げでも影は追いかけてくるのだ。
ふと、建物の隙間を抜けようとした時、私は不覚にも足を止めてしまったのだった。
影が迫ってきていることは分かっていた。それでも止まらずにはいられなかったのだ。
私の視線の先には一枚のガラスがあったのだった。
そのガラスには元の色が何色か分からない薄汚れた一匹の鼠と、その鼠を捕えようとする黒猫の前足が映り込んでいたのだった。
~おわり~
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