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「黒助、そのことなんじゃが――、今までお主が案内していた仲間は白い扉に入っていったと思うが、お主はこちらの黒い扉へ入ってもらうことが決まったのじゃ」
「そんな! 私はみんなと一緒に天国へは行けないと言うのですか?」
いきなりの事実に黒助は驚いて神にすがるように悲痛な叫びをあげた。
「まあ、つまり――そういうことなんじゃ。すまんのう」
少し申し訳なさそうに呟く神を見ていて、私は笑うのを堪えられずに吹き出した。
「黒助! 君はどこに行っても結局は黒いということなんだな! 初めから君のような黒い毛を持った猫が天国に行ける訳がないのだよ。天国に行くに相応しいのは私のように選ばれた者だけなんだよ」
高らかな笑い声は何もない空間にどこまでも通っていく。
「そうじゃな。確かにお主の言うように天国へは選ばれた者しか行けないのじゃ。さてハクとやら、お主はこの白い扉をくぐるがよい。細かい説明は扉の先で改めてするとしよう」
神に抱きかかえられ腕の中で静かに泣きじゃくる黒助を横目に私は威風堂々と扉へと進んだ。
誇らしかった。やはり私はどこに行っても選ばれてしまう宿命にあるのだろう。
そして、白い扉は近づくと自動的に開き、私の全身を眩いほどの光で包んだのだった。
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