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荒海
荒波を見渡す岩場、自身が目指す地を見据える者がいる。
霞む程遠い目指す場所と、彼との間に、私は満ち溢れ、荒波として立ちはだかる。
財力のない彼に、私を航りきる船は手に入らない。
私を飛び越える才能の翼もない。
出来ることは、ひとつ。
その身ひとつで乗り越えるしかない。
愚か者と呼ばれながら、無謀だと嘲笑されながら、私に向かって飛び込むのだ。
数えきれない、本当に数えきれない者達が私の中で泡となった。
しかし何人かは乗り越えた者達がいる、信じがたいその偉業、私はその勇姿にうち震えた。
私は見たい、何度でも、乗り越えた者の勇姿
を。
彼は必ず挑んでくる、私の潮流を読み、波の弱い部分を探している。
愚か者達は皆そうしてきた、泡となった者も、乗り越えた者も。
彼は一歩前に出る。
私の胸は高鳴り、荒波は激しさをます。
私は全力で阻止する、乗り越える者に相応しい戦いを!
彼が更に私の前に進み出る。
私の胸の高鳴りは最高潮に達し、彼の背丈を越す津波となって立ちはだかる。
彼が岩場を蹴りだし私へと躍り出た。
戦いが始まる。
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