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雪彦はいつも、学年で上位の成績を取るようになれば、寮に戻ることもやぶさかでは無いと言う。しかし、凛が寮に戻ったことは、今に至るまで一度もない。仮に一度いい成績を残したとしても、次にそれ以上の成績を取らなければ何かと理由をつけて家に戻されることを、凛はこれまでの経験から知っていたからだ。そんな未来が予測できてしまえば、やる気なんて出たもんじゃない。 二人の話題がネット上の噂話に移ると、凛はいつものように眼下に広がる海を眺めた。てっぺんを目指して邁進する太陽の光が水面をキラキラと輝かせ、空には雲が明確な形を成して浮かんでいる。
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