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「まもなく天空島エアポートに到着です。着陸までシートベルトをお締めのまま、お掛けになってお待ちください」 聞き慣れた女性のアナウンスが流れ、窓の外には天空島が見えてきた。草原を丸く削っただけのエアポートでは、職員が大きな旗を振って合図を送っている。この原始的なやりとりも毎日見る見慣れた光景だ。 定期便の機体が島の先端にあるエアポートに着陸すると、ポンっと音が鳴りベルト着用のランプが消えた。 「ご利用ありがとうございました。本日も良い一日をお過ごしください。いってらっしゃい!」 録音された音声が虚しく響き渡ると、乗客は荷物を手にぞろぞろと機体を後にする。毎日顔を合わせる研究所員らしいサラリーマンや、中心街の店の店員、他学年の生徒が順に降りていく。凛も後に続いた。 話に夢中になって一歩出遅れた二人が、背後から「コンビニ寄っていくけど、松上も行く?」と聞いてくれた。毎朝同じように確認してくれて頭が下がる。 「ううん、大丈夫。お弁当あるから。先行ってるね」 軽く手を振って二人を見送ると、ゲートを抜けてレンタサイクルの精算機にガジェットを翳した。学生証が反応してピピッと音が鳴る。     
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