2

12/14
前へ
/201ページ
次へ
凛は、天空島研究所に務めるためにこの高校に入った。それどころか、そのために高校生になった、と言っても過言ではない。 凛の父・雪彦は有名大学を卒業後、天空島研究所の前身である物理学研究所に入所、研究者として働いていた。その後実績を評価され、天空島誕生の礎となる「天空島プロジェクト」のスタッフに抜擢。プロジェクトに関わるうちにその素晴らしさに魅了され、すぐにワーカホリックになった。 ほとんど洗脳されていると言っても過言ではない雪彦が、子供たちに天空島で働く将来を求めるのに時間は掛からなかった。それまで地元の学校に通わせていた凛や弟の侑をことごとく天空島の学校に入れた。侑に至っては、本来なら島内の子どもしか通えない天空島中学に無理やり通わせたほどだ。 そういうわけで、雪彦のプレッシャーの下、凛は寝ずの猛勉強の末、受験に合格、天空島高校に入学した。 「はぁ、勉強したくない。テストなんてなかったらいいのに」 凛は、頭に過る雪彦の顔をかき消すように重い溜息をついた。霊でも憑いているのかというほどに、肩がずしりと重くなる。本来勉強は嫌いではないが、順位をつける制度だけは恨めしい。それがなかったら、きっと学ぶこと自体は楽しめたはずだ。 「でも、この前のテストいい感じだったんじゃないの?」     
/201ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加