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ぽつぽつとランクアップした成績表に、そっと胸をなでおろしていたことを覚えていたらしいさくらが言った。 「うん、まぁね。お父さんは気づいてもなかったけど。たぶん、学年五位以内にでも入らない限り変わらないだろうね」 天空島研究所を目指して入学する強者揃いの学校では、サラブレットは凛だけではない。研究所員を親に持つ生徒がクラスの半分以上を占めているうえに、彼らは並々ならぬ憧れを研究所に抱いてこの学校に入学した。 つまりモチベーションが違う。要領の悪さも手伝ってか、地元の中学で中の上ほどの成績を残していた凛も、高校に上がって底辺へ墜落した。それはエンジントラブルを起こした小型機が徐々に墜落していくというより、ジェットコースターに近い。なだらかに落ちたのではない。垂直に落ちた。 もちろん自堕落になったわけではない。凛自身は何も変わっていないにも関わらず、それまで整数部だけの表示だった順位が、限られた視界の中で少数部だけの表示に切り替わったのだ。1・1から測って2・2の距離と1・9の距離では後者の方が近いはずなのに、整数部分が隠れていればそれは逆転する。目の前に表示されている数字は、いる世界が違えばその価値は変わってしまうのだ。     
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