0人が本棚に入れています
本棚に追加
今から30年前の話になります。
私が通っていたのは街の中心部から2キロほど郊外のS小学校でした。校舎は30年くらい経過していたコンクリート造り2階建て、教室は木造小学校のような古い造りでした。
当時6年生だった私は、変わりばえしない学校生活を淡々と送ってました。
そんな学校は児童が近づくことがない不気味な倉庫ややけに新しい人体模型のある理科室、ボロボロの音楽室がありましたが、唯一怖い場所、怖いウワサのある場所が、音楽室前の廊下にある鏡。
長方形の大きなその鏡はなぜか周囲の壁とおなじベージュのペンキで塗り潰されているのです。
鏡にはゆうちゃんという4年生の女の子が吸い込まれて行方不明になったというウワサがあり、鏡の前で4時44分に「ゆうちゃんゆうちゃん迎えに来たよ」と唱えるとゆうちゃんが迎えに現れて吸い込まれると言います。そんなウワサがあるなか、十数年前に児童失踪行方不明事件発生し、鏡にペンキが塗られた。私達のクラスではこのウワサがジリジリ燻るようにあり続けました。
「ウワサを試してみたい。」
まゆちゃんが突然言い出したのは、金曜日のお昼時間のことでした。
最初のコメントを投稿しよう!